愛してよダーリン




「お、やっと来た」



赤い髪をカチューシャで上げてるもう1人の男の子は、そう言った。



「その子が例の奈緒ちゃん?」



例の……?



「例のとか言うなよ!ま、そうだよ。この子が奈緒ちゃん」


「ふーん?」



赤髪の男の子は興味無さそうにそれだけ言うと立ち上がり、カウンターらしきところに行った。



ここはどうやら個人で経営してるカラオケ屋さんらしく、中に入るとすぐにカウンターがあって、


人が4人入っただけで、かなり圧迫感があるくらい狭い。



カウンターにはおじいちゃんって言ってもいいくらいの男の人が座っている。



「おい、女連れてきたぞ」



優しそうなおじいちゃんなのに、その人に向かってそんな口調で話し始める赤髪。



おじいちゃんに向かって何て口の聞き方!



………なんて、おじいちゃんを可哀想に思ったのはその一瞬だけだった。




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