愛してよダーリン




赤髪に話してたときと、うって変わって優しい声を出すおじいちゃん。



しかもさっきまで鬼のように怖い顔をしてたのに、今あたしに向ける顔は近所にいる普通のおじいちゃんみたいに優しい顔。



人はここまで顔を変えれるんだって、少しびっくりした。



「奈緒……です」


「おぉ、奈緒ちゃんか。次に来たときは無料にしてあげるからな」


「え、無料ですか?」


「あぁ。だから友達もたくさん連れて来るといい」



無料になんてしていいんだろうか……。



まぁ、無料なら次からカラオケに来るときにはここにはしようかなぁ。



なんて考えてると、拓海くんがあたしの前に立って、おじいちゃんが見えなくなった。



「ナンパしてんじゃねぇよ。つーか、無料にするなら常連の俺らを無料にしろハゲ」



拓海くんがそう暴言を吐いて、あたしの左腕を掴むと“102号室”と書かれたのドアを開けて入った。




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