愛してよダーリン




「あのね……」


「待って!」


「え?」



ちゃんと返事をはっきりさせておこうと思って話し出そうとすると、拓海くんに止められてしまった。



「返事は……まだしないでほしいんだよね」



申し訳なさそうにそう言う拓海くん。



「うん?」


「俺、まだ奈緒ちゃんとこのままの関係でいたいんだよね」


「……」


「だから……」


「じゃあ、」


「え?」



拓海くんの気持ちも分かる。



まだ片想いでいたいって、友達の関係を崩したくないって思う気持ちも。



「来週の土曜日に返事する。1週間……待っててくれる?」


「うん。ありがとう」



1週間先も樹が好きなのには変わりないって分かってるくせに、


1週間も返事を伸ばしたあたしは、結局拓海くんをもっと傷つけてしまうのかもしれない。



それなのに伸ばしたのは、少しでも拓海くんの“好き”という気持ちに答えられない代わりに、他のお願いには答えてあげたいって思うから。



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