愛してよダーリン




こんなことを聞くために、あたしをわざわざ呼んだの?



期待を持たせるようなことを言っておいて裏切るために、あたしをここに連れて来たの?



“なんとなく”って安易な考えで、あたしを傷つけに公園のベンチに……隣に……座ったの?




こんなことなら来なきゃよかった。


傷つくって分かってたら来てなかった。



“なんとも思ってない”って改めて思い知らされるなら来なかったのに。




もう早く帰りたい。


この空気が空間が息苦しい。


樹といるのが………苦しい。




鈍感な樹の隣にいることに耐えられなくなったあたしは、その場から立ち上がり公園を出ていこうと決めた。



だから立ち上がろうと、少しだけお尻を浮かせたとき………だった。



その、甘く低い声があたしに聞こえたのは。



「好きなんだよ」


「……」


「奈緒のことが」


「……」


「昔からずっとって言っても信じてくれねぇだろうけど、俺は奈緒がずっと好きなんだよ」



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