愛してよダーリン




夢を見てるのだろうか。

ならいつから夢なのだろう。



いつもわりと早く話す樹がゆっくり話すし、あまりない優しい口調。



それにあたしのことを好きだと、昔からずっと好きだと言ってるし………。



なおさら夢に違いない。

だって、信じられない。




「気持ち伝えられねぇまま、後悔したくねぇから」



夢なら、正夢だったらいいのに………なんて思った時には、また夢の中の樹が話し出した。



夢のはずなのに、鮮明に聞こえる樹の低い声。



「おい」


「……」


「奈緒?」



きっと、夢。

ううん。絶対、夢。



こんな現実みたいだけど、あり得ないことが起きてるんだから、夢としか考えられない。



「聞いてる?」



だったらもう少しだけ、この幸せな夢を見ていたい。



変に返事をしてしまったら、夢から覚めてしまうかもしれない。



ならどうせ夢なんだし、返事をしなくったって平気に決まってる。



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