愛してよダーリン
「ねぇ、樹……」
「何だよ?」
「あたしね、勝負もしてないのに勝手に1人であたしが負けなんだって思ってた」
「は?」
「フラれないフラれるよりも、伝える伝えないの方が大事なのに」
「……」
言葉にしてみないと、伝えたいことは伝わらない。
そんな簡単なことを忘れてた。
「自分に臆病になって、好きって気持ちを忘れようって思ってた」
「……」
「幼なじみの今の関係をこの先も続けていく方が楽しいし、関係が崩れないんじゃないかって」
「……」
「でもね、やっぱりたくさん言い訳を考えても、最後には結局“好き”って気持ちになっちゃうんだよね」
冷たくされようが。
無視されようが。
めんどくさそうにされようが。
自転車を使われようが。
結局は“樹が好き”に戻っちゃう。
「じゃあ返事は?」
「え?………って、きゃっ」
隣に座ってた樹の腕が伸びてきて……あたしの肩を触り樹の方に向けたと思ったら、そのまま抱きしめられていた。
.