愛してよダーリン
樹の右肩に顔が触れる。
樹の両腕があたしの背中に触れる。
樹の温もりを初めて感じる。
初めての行為に、どうすればいいのか分からない。
ただ心臓のドクドクなるのが早くなってて、それがさらにドキドキしてるんだって実感させられる。
「どんだけ待たせんだよ」
「……」
「俺は拓海みたいに心広くねぇから待たねぇよ」
「……うん」
「つか、待てねぇ。だから早く言え」
自分から告白したくせに、命令口調の樹。
相変わらず口が悪い。
あたしじゃなくて他の女の子に告白してたら、絶対キレられてフラれて終わりだと思う。
なんて、他の女の子に告白してほしくないけど。
だってあたしは………
「樹が好き。大好き。あたしもずっと、伝えたかった」
今世界で1番幸せだと思う。
好きな人に好きと素直に言える現実。
抱きしめられてる現実。
この位置を……誰にも渡したくない。
「奈緒、それ反則」
樹の顔が近づき、静かに重なる唇。
それがあたしのファーストキスだった。
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