愛してよダーリン
02〜Love and envy

遠距離カップル





ファーストキスはレモンの味がするってよく言うけど、あたしにはそんなの分からなかった。



初めてのキスだったから、緊張しすぎて何も考えられなくて、一瞬だけど長くも思った。



キスをした後、しばらく樹に抱きしめられていた。



だけどすぐに日が落ちて辺りが暗くなり始めていたから、家が隣だから一緒に帰った。



帰ったといっても、公園はあたしたちの家から歩いて5分もかからない場所にあるから、すぐに家には着いてしまった。



だけど公園のベンチを立ち上がると、何も言わず手を差し出された。



あたしはそれが嬉しくて、差し出された樹の手をギュッと握り、短い間だけど手を繋いで帰った。



キスした後からは、お互いに何もしゃべらなかった。



それはたぶん、“幼なじみ”という関係から“恋人”という関係に突然変わったからだと思う。



気まずい空気が流れるも、幸せな空気も流れていた。




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