愛してよダーリン




「奈緒」



こんなとき、どう言ったらいいんだろう。



どう言うのが1番良いんだろう。



「奈緒」



だって、だって、だって。



おばあちゃんの面倒を見なきゃいけないのは分かるよ。



あたしだって、おばあちゃんが1人暮らしでまた危ない目にあうなんて嫌だから。



でも、それは樹も行かなきゃいけないの?

決定事項なの?



樹だけこの家に残って、樹の親だけおばあちゃん家に引っ越しすればいいだけの話じゃ………って、



あたし何自分勝手に考えてるんだろ。




「最初は俺は残るつもりだったんだけど、ばあちゃん残り少ししかねぇって言われて」


「え?少ししかって……」


「もうあと少ししか生きられねぇって」



樹のその言葉を聞いて、自分の考えがとても子供で勝手に思えた。



嘘でしょ?おばあちゃんが?



「だから……俺も行く」



嫌でも入ってくる樹の力強い声。



まるで、もう揺るがないとでも言ってるようで…………今日2回目の涙が出た。



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