いばら姫











「……まだ痛いだろ
そのキズ……」


「季節の変わり目とか
雨とかの前はたまに

…でも、あんまり感覚無いとこもあるし
前程じゃない


―― それより淳のが心配だよ…
薬…買って来ようか…?」



「…いらねえ…
うあー…… 情けねえ…

予定じゃ今頃、アズの事
鳴かせまくってたハズなのによー…」


「あはははは 」



「…お前…キズみたら
俺がこうなる事予想して
…だから部屋まで来たんだろ…」


「…… かもしれない 」




――― 頭は
シルクの寝巻を着たアズの
膝の上

両手で目を抑えるけど
まだ涙が止まらない



「あー くそ… 」


「…人前で泣いたの
初めてな訳でも無いじゃろうに…」


「……初めてだ アホ
男だもんよ

頭とか撫でるな
――― 止まらなくな……」




「…… 私なんかの為に
泣いてくれてありがとう… 」



俺の頭を抱え
頬を寄せて呟く その言葉に
また涙が 溢れて来る――







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