いばら姫
「…西さ
お前、高校の時
記憶喪失になった事無かったか」
「あー あったなぁ!
アイスホッケーの試合で
対戦校の奴に
俺がパック持ってた時にチェック――
吹っ飛ばされて
ゴールに頭からぶつかって…
一週間位して、試合当日の事は
思い出したけど
ぶつかった前後は
いまだに思い出してない」
「…今だにか?」
「 うん
テレビでサッカーの、三波だっけ?
ワールドカップの時
あの人も、吹っ飛ばされて転倒後も
試合して、得点も入れてたけど
覚えてないって言ってたから
そういうもんなんじゃないか?」
アキは初耳だったらしく
かなり心配そうに、西へ体を向けて
なんやかや聞いている
――結局この二人は
うまく行ってるんだと思うし
なんにしろ、
高校時代から知ってるんだ
……… 高校から知り合いで
この事、知らなかったのか