いばら姫





お互い

"何時頃、家に着いたのか"とか

年末年始は、
かなりお互い忙しい事


やっぱりあの写真は
アズの部屋で

車で帰って来る時に
アクアリウムショップを見掛けて
生まれて初めての
衝動買いをした事



そして灰谷のあの"操縦室"は
ほんの一部で


"CheaーRuu"のサイトは
最初、灰谷自身が
掲示板等もプログラムして作った事や

スタッフの人が
かなり灰谷や、メンバーの人を
愛していて

実際、後で見に行った時
全体にちりばめられた写真は
それに満ちていた



プロのアーティストのサイトは
大体会員になる為には課金があって
限定でメールが書けたり
日記が読めるという所が多いんだけど

"CheaーRuu"の所には
メールフォームがあって
そこから誰でも、
メンバーに送る事が出来た




電話中
俺の後ろから、ドサリと音がして
アズがそれに驚き
何事かと聞いて来る


「…当たり前にこっちは雪
朝になったら、雪掻きしないと」

『……今、朝の5時だけど
眠らなくて平気なの?』


「…前の日寝過ぎたろ
8時間も寝たし 」


『 あはははは 』


「もう少し遊びたかったけど
…年末年始はお互い忙しいし
仕方ないな

―― 青山さんから連絡来たか?
おまえ途中で帰ったから
向こうも心配してただろ 」



ゆっくり、タバコの煙を吐いて
アズの口が開くのを待つ

少し経ってから
その質問に答えは返って来た



灰谷があの後、
連絡を受けて
アズは先に帰った事を伝え

青山自身も、
アズの顔を見たら
すぐに帰るつもりだったらしく
特に電話も無い事を、静かに話した



―――そして

最後のアズの
あの文字付きの写真に
やられた訳じゃないけど

"また少し撮ってみようかな"

そう言った時

見えない筈のアズの顔が
やわらかく微笑んだのが判った―――





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