いばら姫
―――好きで
好きで
どうしようもなくて
言いたい事は
沢山あった
つい思ったままの言葉を
その青いピアスの耳元に
ぶつけてしまいそうになるけど
――ほとんど吸う事無く
夕暮れの元で、灰になっていたタバコ
あの診療場の
小さな白いベットの上で
倒れ込んだ様に眠る
それでも彼女に腕を貸した
あの大きな、
白いTシャツのせいで
少し頼りなく見えた背中の
胸の内を、少し思う
少しだけね
『…もっと強くならなきゃ』と
ふと漏らしたアズの言葉に笑いながら
「俺も
何か一本撮るまで、アズ絶ちするかな」と
半分冗談で言ったら
『…淳の……見たい 』と
甘く掠れる声で言われて
「…おまえ汚ねえよ…」と
床に転がって
ちょっと頭をぶつけてしまった
―――アズの香りと体温を知ってしまって
前とは比べ物にならなくなった
体の奥の動悸を抑えたくて
立ち上がり、窓を開く
朝刊を配る
スクーターの音がした
……… 遠距離恋愛してる奴ら
本気で尊敬します
アズの事を抱いていなくて
良かったのかもしれない
じゃなかったら多分
今こうして独り、部屋にいるなんて
俺には無理です…
思わず、深い息が漏れて
少し目をしばたき、天井を見上げた
『……寒い ? 』
「………熱いよ 」