いばら姫
―――あの"池上海平"は
若手監督の代表と言われていて
世への出方が突然だったから
『Azurite』ブームに乗った
ラッキーな奴みたいな言われ方も
たまにするけど
…… 新しい事をどんどん実験しながら
王道を崩さない部分は凄いと思うし
アズの張る
薄い硝子の様な壁を越えて
あれだけ幻想的で綺麗に
時には生々しく撮れるのは
やっぱり、最高に羨ましい――
あの新宿Jemuでの
テスト映像のイラストにしたって
下手ウマな味があったし
金ちゃん走りをする所なんか
アズを知ってる奴だったら
"あるある"とか、吹き出す所だろう
――― 映像監督になった人達の
経歴は様々
大学時代から撮っていて
賞を何回も取って道を得る人
映像学校だと
在学中から機材の勉強をし
全ての所がそうなのかは知らないが
テレシネ化した映像を、
テレビ局等の企画に売込む機会があったり
卒業後
助手として働き始めたり――
きちんとその世界に
組みして目指すなら
東京に出る事は必至で
―だけど正直
今回出会った
あのホテルの人達は良い人達だったけど
あんまり東京は好きじゃないし
空気が悪いのが、まず無理だ
東京じゃなくたって
撮れる物はあると思う
撮り方のノウハウは
そこそこ理解しているし
今回、あの日比谷公園で撮れた
アズの映像も
―――かなり良い出来だった
まだ何を撮るかは決めていないけれど
以前見に行った
国内海外入り乱れた
"ショートフィルムコンテスト"
古くからある
中学生から年配の人達まで
応募数の多い
"東京シネマ・コンテスト"
ネットが普及してから始まった
映像をウェブにあげて
一般から投票を募る
"WEB・シネフロント・コンテスト"
今国内である
"先に道が続いている"代表の
コンテストは、この三つ
―― 時期が近いから
同時に応募は出来ないし
それにやっぱり俺は
行くなら、海外に行きたい
ショートフィルムコンテストは
賞を取って
ハリウッド映像の仕事をしている人も居る――