いばら姫


「…よく撮れてる… 」

ミチルは髪をかきあげながら
鳩に襲われているアズを見て笑う


「…俺、今年もう一本撮って見るすけ」


ミチルは
前の八ミリを撮った時
ここの二階の部屋を
撮影場所に貸してくれた



「…前のと、全然違うね これ 」

「……え? 」


「――― もしこれと同じ物を
アズさんじゃなくて撮れたら

……凄いと思う 」




「………… 」


「…前のはキチンとした道具で
構成みたいなものも
すごく判りやすくて
画像も綺麗だった

でも私…

この映像は欲しいと思う
お金、払ってもいい 」



「……『Azurite』だからか?」


「違うよ…判ってる筈

――アズさん、
凄く綺麗だし
動き方もやっぱりわかってるし
多分誰が撮っても、
…何て言えばいいのかな…

撮る知識あまり無い人でも
家庭用ビデオとかでも
きっと立派に一個
何か作品、作れちゃうよ

…変な言い方すると
淳じゃなくても…ね 」



―― それは、 判ってた




「でもね?!
言いたい事はここからなの 」





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