いばら姫
夜半も深くなって来ると
皆、酔いが廻り
Seroは特に忙しい日々の中
抜け出して来たに近いから
座布団を枕に、赤い顔で寝てしまった
AKARIさんがその体に
そっとタオルケットをかける
Hawkは携帯を弄り始め
Asuraがそれを、覗き込む
自分のサイトの更新をしているらしい
「ゲームの攻略か何かか?」と
聞いたら
「スィーツ食べ歩き。」と
意外な答が返って来て、驚いた
AKARIさんが
アズに何か、言葉をかけている
俺はベランダからそれを見ていたけど
一度、ガラス戸を閉め
庭に出て、海辺を見渡した
少しすると
カラリとサッシの開く音
そこに立っていたのはAKARIさんで
「アズかと思った?」と
俺の顔を見上げる
「特には」と笑うと
「…聞いた…? 」とだけ
少し心配そうに呟いた
「…あんなの嘘っぱちでしょ
ネットにゴロゴロ居る
自称病弱とか、そういう設定で――」
「違うのよ Maxim あのね
……私の同期が
アズの運ばれた病院の看護婦なのよ
だから、嘘でも何でも無くて
本当の事なの」
「……………」