いばら姫



「少し待ってね」


プリントアウトされ
出て来た紙は、数年前の日付

新聞の小さな記事には
"野外コンサートで転倒した際に、
誤って小道具として用意されていた
ナイフが刺さり―"と


けれど何処にも
アズの顔も名前も載ってはいなかったし
別人の話を自分の事の様に
語っている場合だって
あるかもしれない――

AKARIさんはアズと仲がいいし
その看護士だってグルの可能性だってある


「――とか思ってるんでしょ」


「…あ 」

頭の中で思っていた事を
そのまま復唱されたみたいに言われ
俺は黙ってしまった


「――― 覚悟があるなら

アズの過去も
好きな人への想いも全部

貴方が引き受ける覚悟と度量があるなら

…アズのお腹、見せて貰いなさい

それが一番の証拠よ」


「……腹 ? 」



「…お腹と  腕 」



―――― 俺は部屋から駆け出して
アズの上に、馬乗りになった







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