いばら姫
HawkとAsuraは
寝室に行ったらしく、居なくて
残されていたのは
GONGさんと、寝ているSero
アズは
俺を碧い瞳で真っ直ぐ見たまま
抵抗しなかったし
GONGさんは、一瞬驚いていたけど
黙って見ていた
白い長袖の腹をたくしあげると
黒い紐のコルセットをつけていて
簡単に取れそうも無い
―――苛々して今度は
片方の手の袖を、捲くりあげる
そしてSeroが
その騒ぎに目を覚まし
仰天した顔で俺をアズの上から
引きずり下ろした
「…Maxim…知らなかったのか…?!」
……しらねえよ…
――― 何かの刃先から
何かを必死に護ったとしか思えない
幾つもの、向かい傷
一カ所は
腕の内側にまで貫通していた―――
「……記憶って
何故、戻った………?」
十六の歳から
つい最近まで忘れていた事
それを呼び戻したものが
一体何だったのか、それが知りたかった
『………… 音 』
アズは俺に押し倒された状態のまま
天井を見上げて答える
「……何の音よ 」