いばら姫
「西、窓開けて 玄関も
こないだ隣の人が殺虫剤焚いたら
どっか近所の人が、消防車呼んだすけ 」
「ナハハハ! 集合住宅は不便だな
俺も今マンションだけど色々と面倒だわ」
「な 鍵開けといたら、
急になんかの勧誘、入って来るしよ 」
「それはダメだべな
野中の一軒家じゃないんだし 」
「前は滅多に鍵なんか
掛けなかったからなあ
西、どうする?ワタ取る?」
「秋刀魚はワタが美味いだろ〜
取らんで焼いて〜 」
「…… 西 」
「 ん? あ、即席の味噌汁もあるよ」
「……心配かけて、ごめんな
しょっちゅう来てくれて 」
「……………別に、そったら事も
無かったけどな…
ちょっとは、…うん
心配したけど 」
「――― もう平気そうだから
吹っ切れるには
まだ時間がかかるかもしれないけど 」
「……『いちご煮ちゃん』…?」
「…うん 」