いばら姫
『淳は邦楽聞かないから
もしかして知らないっか?!
『Azurite』って言うのは…』
「…さすがに知ってるよ
だけど、その招待券って何よ」
『携帯サイトのみで公募した
『Azurite』のプロモ撮影込みの
バンドコンテストでさ…
東京のライブハウスでやるんだけど
一応、一般客も、
はいれるには入れるんだけども
出演者と、招待客しか
最後まで残れないんだよ…
多分、最後に
『Azurite』が出るんじゃって…』
「 ――…それが、何で俺によ 」
『…俺、楽器なんか弾けないし
――― ほら!淳の親戚さ
東京で音楽関係やってるとか
昔言ってたの思い出してよ
…その調子だと
淳方面には来てないみたいだけど…
そっちで何とか取れない?!
御礼なら、
俺に出来る事なら何でもするからさ
な!?』
「…東京じゃなくて埼玉
そして音楽関係は関係だけど
小さなCDショップ
そういう直な芸能界関係とは縁が無いな」
『 …そ そうなのかあ… 』
森野は深く、悲しそうな溜め息
「…コンサートなら
警備とかで潜り込めば
いいんじゃないの?」
何の気無しに言ってみたが
それに答が返って来た
『……真っ先に考えたよ』
「 考えたのかよ 」
『 でもGlobalは
自社系列の警備使ってるから
付け入る隙、ナシだった… 』
「…ファンなのか」
『…………うん 』