いばら姫
「…知ってるも何も
服飾とか
美容師とかで構成されてるとかって
結構雑誌にも… 」
この間来た時、
この部屋にあった雑誌にも載ってた
ラックの中からそれを出して、姿を確かめる
「……このバンドだべな 」
「 うん 」
「―― あれ でもどの人だ?
もしかしてこの真ん中のか? 」
かなりメイクもしていて、
あの時見たファッションとは系統が違うし
サングラスもかけてるから
一瞬見ただけでは、
タカオさんとは判らなかった
「 しかも "ハルト"って…
―― 芸名か 」
「 うん
前は本名で
全然違うジャンルのロックバンドやってて
何年か前、
スカが凄く流行った事あったじゃない?
その波に乗ってデビューしたから
…" 魂売った "とか言われそうとかで
当時の知り合いに判らない様に
芸名にしたって、笑いながら言ってた 」
「…てかよお前、明日も学校あんだろ?
―― それとも休むか 」
時計の針は、3時を指してる
「…… 学校 やめようかな 」
「 は? ―――お前馬鹿か? 」
「―― 誰かは判らないけど
私の事、恨んでる人が居ると思うと怖いし
… タカオさんには謝って引っ越すわ
もしかして、これ送って来たのが
"ハルト"のファンの人だったら
エスカレートしたらどうしようとか…
学校でバラされて…
その中で
平気な顔して通うとかは無理だもの… 」
「―― すみません 岡田さん
それと、ミチルさん
これ、男じゃないすかね? 」
ずっと脅迫状を見詰めていたハシバが
突然、口を開いた