いばら姫
「―― 男 ? 」
「はい
… 俺の感じる所ですけど
いちいちこういう、色々な雑誌や新聞から
―― しかもかなり几帳面と言うか
デザイン考えてると言うか
女の人ってあまり
こういうやり方、しないじゃないすか
もっとこう…
御本人への悪口羅列とか
ファックス知ってる位なんだし
家への無言電話何百回やら
――" あの人に近づいたら
あのビデオでやっていた事をバラす "
ミチルさん
ここの電話番号やファックス番号って
その前の持ち主の方の物とは
違うんですか? 」
「―――…… あ!!! 」
ミチルは綺麗に塗った指で、
自分の口元を抑えた
「…こっちの番号は教えてないです!
ファックスは…
前の部屋の時私、電話引いて無かった… 」
「この部屋は借りた
教えてたのは携帯とメアドって言ってらしたので 」
ミチルは顔を真っ赤にさせる
「…っご ごめんなさい!!
私動転して…
すっかり自分の部屋気分で…
こんな基本的な事勘違いで慌てて……!」
ハシバはにこやかに笑い
ミチルもかなりホッとした様で
固く正座していた足を崩した
黙っていた吉田さんが
ファックス用紙を手に取る
「ん〜… てえ事は
この脅迫文は、
そのハルト?本名タカオ?に向けて
送信されて来たって事だよな 」
「―― あ!! 」
ミチルは再び、その事実に口元を覆い
…俺もそれは思っていたから
ミチルに質問する事にした
「…タカオさんとは連絡取れるのか? 」
「…特に掛ける理由が無くて…
それに、凄く遠いだか田舎なんだかで…
落ち着いたら
すぐ連絡くれるって言ってたんだけど… 」
「―― 来ないのか 」
「うん…
でも元々、電話するより遊ぼう
って感じの人でさ…?
周りの人も、
『水谷さんは電話来る前に家に居る』とか
電話しなくても、ここね?
ここが溜まり場みたいになってるから」
「 ミチルさん 」
―― ハシバが、低い声で呟いた