いばら姫
「……… え 」
寒い所から部屋に入り
急に温まって来たからなのか
――― 貧血が起きたみたいに部屋が廻って
一気にアズが言っていた事を思い出す
溜まり場仲間としてから、
一緒に暮らす様になった事
――…手は一度も出されなかった事
離れてからも、ずっと手紙が来ていた事
……タカオさんが送ってくれた時に
話していた内容と重なる
「 じゃあ この部屋 は… 」
―――― アズが住んでいた部屋
吉田さんが、少し冷めた蜂蜜レモンを
一気に飲み下した
「…ミズタニってのは
ここで聞く限りじゃ優しい良い人だけど
脅される様なヤバイ何かに出たの?
ハシバ君、聞いた事ある?」
「ミュージシャンは
それに限らず、アマチュアってのはよっぽどじゃないと
それ単体じゃ食えないじゃないすか
だからって勤勉な奴は多いかと言えば
派手な事が好き、
苦労せず利益を得たい人口は
かなり多い訳で…
東京って場所柄、
多少リスキーでも金貰えるならって
色々やってる奴は多いですよ…」
「…ん〜…でも
ミチルさん宛てって可能性も消せないな
ミチルさんがここに住んでるって事を
溜まり場って事で知ってる奴は多い訳だろ? 」
ミチルは小さく頷く