いばら姫
「…ゲームって? 」
不思議そうに尋ねる吉田さんに答えた
「―― RELIEFオンラインで、
俺はアズと知り合ったんです
リアルでは…
数回しか会ってませんけど…」
「…ホントに…? 」
「 本当ですよ 」
吉田さんは口をポカンと開けて
頭をガリガリと掻く
「…… ん〜
ジョンに電話してみようかあ… 」
「―― え 」
「…いやさ
あの世界を作ったからには
多少俺らも何かしなきゃって言うか
それに…
キャラを消す行為って、
やっぱり嫉妬とか…
もしかしたら独占欲とか…
恋愛感情みたいな物感じないか?
監視してる奴、
アズライトをすり替えた奴が
それがグローバルの、
そのお祖母さんなのかも謎だし
…プラス、この怪文書
まあこれは無関係かもしれないが
…灰谷がああやって隙を作る程
――徹底して見張っている奴がいる
これ、日本に居て幾ら考えてても
絶対ラチが明かないだろ? 」
ハシバが少し紅潮した顔で
吉田さんに向かい、身を乗り出した
「―― しかし吉田さん
こちらですらまだ
アズさん、真木さんが何処に居るかも… 」
「だから…
その手掛かりを見付けたいんじゃないか 」
―― 吉田さんは携帯を取り出して
俺に向けた
「…… ボタンを押せば
"マンハッタンの扉"へと繋がる
灰谷が言った通り、これを押さずに
普通の生活をして行くのが、
一番岡田に取っては安全で
『正しい』んだと思う
ひょっとしたら、
俺達が知らないだけで、これを機会に
…アズライトは芸能界に
嫌気がさしてたりなんかしてて
消えるつもりなのかもしれないし 」
「―― それは無いです!! 」
「…ん〜 それは
岡田のレンズを通したアズライトだよな
俺から見たレンズだと
そういう行動も、
彼女は充分しそうに見えるよ
最初、何処だかで生のアズライトを
偶然見掛けた時
やばいなー、この子
そう、思ったんだ 」