いばら姫





『…… 岡田さん 起きてる? 』


「――… あ 」


『…そろそろ着陸する
シートベルト着けて 』



――――…さっきまでのは夢か




降下を始めた機体の窓から
…有りがちだけど
宝石やビーズを箱に入れて
一気に崩したみたいな鮮やかな光 ―――


天上の波

濃い影を巻きながら拡がる雲の渦の上には
真っ白な輪を周囲に描いた
オムレツみたいな月が出ていて
俺の頭を一気に醒ました



フォーストクラスの
通路を隔てた席に座る
金髪スーツの男性が、こちらを向いて
『 My Home. 』と笑い

けして騒がしくは無いのに
機内の空気が浮足立つ



―― 間隔を置いた滑走路の灯の光は青く

そこに誘われながら、
少し甲高い音を立てて
白い翼はゆっくりと
ライトアップされた道に、舞い降りて行った







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