いばら姫
そして突然、真木の口調と、言語が変わる
…… 足を正して
携帯なのに、お辞儀をしだした
結構長い間
真面目に会話をし
最後に、深く御礼をして電話を切る
青山が
「…御祖母さんか?」と聞くと
真木は頷きながら
溜息を付いて、携帯をしまった
「 マンハッタンから少し外れた
郊外に住んでるんだけど
…今回の事、結構な騒動だろ?
Globalから外されるだろうし
事情をきちんと説明したら
大笑いされて…
『孫が私に会いに来たのよ
貴方が連れて来てくれたんだし
誰にも文句は言わせないわ』ってさ 」
ピュウ、とジョンが口笛を吹いて
青山も、目を見開いて笑う
「…まあ、ボウズとは違う方向だけど
…面白い人だよ
確実に、血は繋がってるなと思った 」
「 どんな風に? 」と俺が聞くと
真木は少し考え、再び煙草に手を延ばした
「―― それはまた今度な
それよりボウズ、こっち来るってよ
車呼んでからだから…
二時間位か? 」
「 ボ ボクも会いたい!! 」
突然、ジョンが叫び
驚く真木の前に
例の写真を懐から取り出し、
大切そうに、そっとテーブルの上に置いた
―― もちろん
青山も驚いて、動きを止める
真木はその写真を
静かに引いて、手に取った
「…何で…
" ジョンブル=レイカー " が…
これを? 」
「……昔、イケカミに貰ったの
ボク、
これがなかったら
マジメに働くコトも
…コドモの頃から憧れてた
映画、撮るコトもなかったヨ
ボクが出した、小さなコンテスト
ヨシダが見て、手紙をくれたんだ… 」
「―― ジョンさん 」
「 …ナニ…? オカダ… 」
「―― アズにこんな顔させてる
端に写ってる男
……そこに居る、青山だ 」