いばら姫
灰谷は助手席に廻り、
携帯で電話を掛ける
少し可哀相だが、
青山は前の席と後部座席の足元に
隠す様にして入れ
入口とは逆方向の出口に向かう
スロープを上がると、
やはり白いボックスの
チェックポイントがあった
――― しかし、そこは無人で
『 …早くチケットを入れて!
呼び出す様、今頼んだんだ
代わりが来たら手動に戻ってしまう!』
入る時に受け取ったチケットを
横にある機械に差し込むと
前を遮断していたゲートが開く
車はまんまと舗道を横断し
真木は片手を上げ
車道へと、滑る様に走り出した