いばら姫



部屋から出て、声を掛ける



「 なあ 誰か、機内持ち込みの
液体の制限判る人… 」



「 お? 」


俺の声に反応したのは
相変わらず机の上で書類を睨む真木

銀縁の眼鏡を少しずらして
ソファを背にして振り返る



「 あれ… 真木一人か? 皆は? 」


「 梅川さんは、小松原さんを
ホテルまで送って行った


―― 水谷から連絡無いしな

アルバムはもう出来上がってるし
契約上は切れてるから
どこに行こうが勝手っちゃ勝手だが…


岡田、何か聞いてるか? 」



「   いや 」


「 ノッポとストリーキング女と
それを見られなかった、残念な男は公園


―― 小松原さん同様
ボウズ、水谷が裏で動いてた事
何も気付いてないから宜しく


俺らに青山が一服盛った時
ボウズだけ眠らなかったのは
元々飲んでる薬のせいで、
効きが悪かったみたいだな


下の電話で青山と揉めてたのは
―― 例のパーティーの準備
驚かす為に水谷と
内緒でコッソリ進めてたんだと


だから青山には、必死でごまかして
その頃やっと薬が効いて来て ――

それを部屋に運んだと
青山本人が言ってる


んで、青山が出て行った頃
ボウズも目が覚めて、
水谷から連絡が入り、
ユカが来ている事を知った


フロントに
『少し出て来る』と伝言してから
その足でユカの所に向かい

隣のホテルから此処まで送った後

水谷が『皆に、パーティーの事は伝えた』
ってんで、準備の為、一緒に廃工場へ


『買い足しに行く』と水谷が出ていって

―― 時間からすると
青山と地下駐車場で、
引き渡ししたのがこの頃

ここまでが、ボウズ本人の証言 」



「 … それ、
何も気が付いてなかったって

―― おかしくないか?

じゃあ何で、BARクエ進めろなんて 」


「 Zattsuのサックスだかが、
同じゲームやってるらしいぞ
手伝って欲しいって、
言われてたみたいだな 」


「 ――…… 」





< 684 / 752 >

この作品をシェア

pagetop