俺の姫は幼なじみ【完】
千幸の病室へ行く途中、考えた。
俺は…一瞬だけ、アメリカに行ってほしくないと思った。
出来るなら…行ってほしくない…と。
けれど、アメリカに行かず、残り少ない余命を過ごすのか…。
アメリカに行き、手術を受け、これから長い時間、一緒にいれるのか…。
そんな選択肢なら、俺は迷わず後者を選ぶ。
確かに…、アメリカに行ってそのまま日本に帰れないかもしれない。
二年とかじゃなくて、五年…十年、かかるかもしれない。
けれど、俺は少しでも可能性があるなら、それにかけたいと思ったんだ。
これから先も…ずっと千幸と歩んで行きたいから。
だから、千幸。
俺の気持ち…聞いて。