俺の姫は幼なじみ【完】
●千幸side
「千幸―、荷物まとめ終わった?」
「ごめん、お母さん。もう少し」
「わかったわ、じゃぁお母さんの荷物は先に送っておくからね」
「はーい」
私は今、アメリカ行きの荷物をまとめている。
時間がたつのは早いもので、もう出発が近づいていた。
外の風景はあの頃とまったく変わって。
病室から見ていた景色は、赤、黄、オレンジに染まった中庭から、雪がしんしんと降り積もる、真っ白な中庭に変わっていた。
この窓から、もう日向が走って来るのを見れなくなるのか…。
私は病室の窓から、いつも日向が走って来る中庭の小道を見つめた。