俺の姫は幼なじみ【完】
…好きが溢れてくのがちゃんとわかる。
私はゆっくり日向の背中に手を回した。
…─幸せ。
「千幸…明日、出発の前にどこか行きたいところある?」
すこし体を離して、日向の顔を至近距離で見た。
「部活でまたマネージャーの仕事、したいな…」
「っえ…」
日向はびっくりしていた。
「どうしたの?」
「えっと…部活は今休みなんだ」
あれ…?
「ぇ…」
日向に会えた嬉しさですっかり忘れてた。
…やっぱり嘘だったんだ。
『部活』って…。
私はゆっくりと日向から離れた。
「千幸…っ…嘘ついててごめん!」
「……」
「嘘つかなきゃならない理由があって…」
「………」
私はただ日向の目をじっと見た。