俺の姫は幼なじみ【完】
「実は…バイトしてたんだ」
「っえ…バイト?」
予想外の言葉に驚いた。
「うん…」
日向はおもむろに立ち上がると、窓から窓へと飛びうつり、何かを引き出しから取りだし、また私の部屋へ戻ってきた。
「……?」
そして、なぜか私の目の前で正座をした。
「千幸…、聞いて?」
「うん…」
日向は見たこともないような真剣な顔で話し始めた。
「アメリカ行って…手術やリハビリに心配があると思うし…治るまで時間がかかると思うけど…」
「……うん」
「…五年先も、十年先も…ずっと待ってる…」
「………」
「そして…、千幸をずっと愛し続ける」
「…日向…」
さっき泣いたのに、また涙腺が緩くなってきて…また視界がゆがみ始めた。
「だから…」
すっと日向の手が差し出された。
「…千幸の夫…予約してもいい…?」