この星空を君に


 全部思い出した。わたしは、星を見ていて、前も見ないで、坂をくだってて、誰かにぶつかったんだ!たぶん…………この人に。


 わたしはベットからとびおりて、床にひざまづき、頭を下げた。

 「ほんとにごめんなさい!わたし、星を見るのが好きで、自転車に集中してなくて!なのに、こんな態度とっちゃって!助けてもらったのに!」

 さっきまでの自分の行動を思い出すと、恥ずかしすぎて、涙がでてきた。

 “穴があったら入りたいって、こういうことか…。”

 「ほんとごめんなさい…」
 「ねぇ。」

 え?わたしは顔をあげた。公貴さんは、ベランダから手招きをしている。

 「星、綺麗だから一緒に見ない?」
 「あっ…。」
 「おいで。」
 「う…うんっ!」

 公貴さんの笑顔は優しかった。彼のことを全部知ったような気がした。


< 6 / 8 >

この作品をシェア

pagetop