この星空を君に


 ベランダに出てみると、2つの天体望遠鏡が並んでいた。

 「お好きなのをどちらでもどうぞ、お嬢さん。」
 「ありがとう。」

 公貴さんの優しさが、嬉しかった。わたしは、ひとつの天体望遠鏡を覗いた。

 「わぁーっ、綺麗!」
 「でしょ?」
 「うん!わたし、望遠鏡で星を見たの、初めて!」
 「喜んでくれてよかった。さっきはごめんね。実は、僕も星を見ながら歩いてたんだ…。そしたら、君にぶつかった。」
 「そうなの?いや、こちらこそ。それは…おあいこですね。」

 ははっ、二人は笑い合った。

 「さっきの答えなんですけど、わたし、めいげつって書いてなつきです。変な名前ですよね?」

 わたしは苦笑いした。小さい頃から、この名前は苦手だ。嫌いではないけど、ちょっとおかしいから、苦手だった。


< 7 / 8 >

この作品をシェア

pagetop