この星空を君に
ベランダに出てみると、2つの天体望遠鏡が並んでいた。
「お好きなのをどちらでもどうぞ、お嬢さん。」
「ありがとう。」
公貴さんの優しさが、嬉しかった。わたしは、ひとつの天体望遠鏡を覗いた。
「わぁーっ、綺麗!」
「でしょ?」
「うん!わたし、望遠鏡で星を見たの、初めて!」
「喜んでくれてよかった。さっきはごめんね。実は、僕も星を見ながら歩いてたんだ…。そしたら、君にぶつかった。」
「そうなの?いや、こちらこそ。それは…おあいこですね。」
ははっ、二人は笑い合った。
「さっきの答えなんですけど、わたし、めいげつって書いてなつきです。変な名前ですよね?」
わたしは苦笑いした。小さい頃から、この名前は苦手だ。嫌いではないけど、ちょっとおかしいから、苦手だった。