無糖

面影すら見つからない

【面影すら見つからない】

手を空に向って翳す
 何も掴めない と知りながら

ふと 気がついた
この指の 爪の 色

白い 白い 爪の色
 嗚呼 悲しむだろうな

きみが 好きだと 微笑んだ
 かつて マニキュアを塗っていると 間違われていた
   淡い それでも 桜色の 爪の色が

今は 真っ白だよ

ふわり と風に揺られて 
 ふと 気がついた

靡く 髪の色は 茶色の髪
  ゆら ゆら ふわ ふわ

きみが きれいだと 微笑んだ
 風に靡く 長い髪の毛が
   漆黒 の 黒髪が

今は 茶色だよ

半袖 には なれないよ
キャミソール も 着れないよ

ううん 着たっていいの

 それでも 包帯を

きみが 抱きしめた この体には

 もう 治らないであろう 傷痕が
  たくさん たくさん

いち に さん し ご
  じゅう じゅういち じゅうに じゅうさん じゅうし 
    ひゃく ひゃくいち ひゃくに ひゃくさん ひゃくよん 
      せん せんいち せんに せんさん せんよん

数え切れない 数だけの 傷痕を

数え切れない 量だけの 血の痕を

共に 生きて
 共に 果てようと
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