少女と道化師(ピエロ)は斯く語り
「一人は嫌い?」
「嫌いよ、大っ嫌い。だって、つまらないんだもん」
「………でもね、お嬢さん。一人でも、進まないといけない時はあるんだよ?」
彼は、まるで諭す様に私に話しかける
それでも、手は止まらずに、彼のいつも失敗する最後のところになっていた。
「…道化師(ピエロ)さんって、イジワルなのね」
「そうかい?初めて言われたよ」
そう言いながら、彼はいつも失敗するところを見惚れるぐらいに、綺麗に成功させた
そして、いつものおどけた笑顔を私に向ける
「………ずるい」
「そうかい?」
「ずるいわ、道化師(ピエロ)さん。そんな事されたら、進むしかないじゃないの」
私は立ち上がり、最後の最後で、彼に笑ってみせる
「バイバイ。道化師(ピエロ)さん」
そして、いつもの帰り道とは逆の方向へと走って行く
後ろから、彼が手を振ってくれるのが分かった………
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