あたしだけのお医者さん
その日、あたしはご飯を食べずにベッドに入った。
食べる気にならなかったし、お腹も空いてなかった。
春人から遅くなるってメールがきてたけど、返信できなかった。
早い時間にベッドに入ったのに、寝れない。
時計の針は、0時30分を指していた。
ガチャ………
家のドアが開いた音がした。
春人だ………。
足音は、だんだんこっちに近づいてくる。
いや……
いまは見たくない…
布団をすっぽりかぶって、寝た振りをする。
ガチャ……
寝室のドアを開けた春人が、ベッドの傍に近づいてくる。
ぎゅっと目を瞑る。
春人にはばれてない。
「ただいま、由香。
最近一緒に居られなくて、寂しい思いさせてごめんな。
好きだよ」
そう言って春人は、布団の上からあたしにキスをした。
それからしばらくして、春人がベッドに入ってきた。
お風呂上がりの爽やかな香りがする。