あたしだけのお医者さん

「はい、深呼吸して。」

「すぅーーー」


先生があたしの胸に聴診器をあててくる。


その冷たさに思わず体が反応してしまう。


恥ずかしすぎて、ますます息が苦しくなる。






あれ??

ほんとに苦しい。


上手く息ができない。


「ハァハァハァ」


「由香さん!?」


先生は、お腹の方に降りていた聴診器をあたしの胸に戻すと、あたしに向かって

「大丈夫、落ち着いて。

ゆっくり深呼吸して。」


あたしは、先生の真似をして、必死に深呼吸を繰り返す。


すぅーーーはぁーー

すぅーーはぁーーー



だんだん苦しくなくなってきて、呼吸も整ってきた。



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