あたしだけのお医者さん
愛する人
朝、異様な喉の渇きを覚えて目が覚めた。
いつの間に眠っちゃったんだろう。
あれから記憶がなかった。
隣には既に春人の姿はなくて。
変わりに一枚の紙が置いてあった。
゛おはよう。
最近忙しくてごめんな。
夕飯、すごいうまかった。
今夜こそ早く帰るから。
いってきます"
そう達筆で書いてあった。
急いでたんだね、
それなのにありがとう。
他に好きなひとがいてもこんなこと書けるんだ、と思うと胸が痛んだ。
「ケホッ……ケホッ」
やばい………
また風邪……
春人にばれないように、早く治さなきゃ。
春人が知ったら、絶対仕事休んでまであたしの看病してくれる。
嬉しいけど、彼女さんに悪い。
春人にも、お仕事休んで欲しくないし。
どうせもうすぐいなくなるのなら、なるべくなら迷惑かけたくないし。
これ以上、春人を困らせたくない。
あたしはだるい体を引きずって、キッチンに向かう。
コップに水をくんでから、体温計を持って寝室に戻った。
「はぁーっ」
吐き出した息が熱い。