あたしだけのお医者さん
体温計、しまうの忘れてたよ…
「とりあえず診…「大丈夫!
ちょっと風邪引いちゃっただけだから。
寝てれば治るから!
だから春人はあたしのことなんか気にしなくていいから、疲れてるんだから早く寝なきゃ……」
まくし立てるように一気にそう言ったら、視界がぐらりと揺れた。
「由香!」
とっさに春人が支えてくれた。
「ごめん、大丈「大丈夫じゃないだろ!!」
ビクッ
「こんなに熱があるのに……
どうして無理するんだよ。
そんなに俺じゃ頼りない?」
違うよ……
そうじゃない……
でも……
「ごめん春人、
そんなんじゃ、ない」
苦しくて途切れ途切れに話すあたしに、春人は背中をさすりながら聞いてくれる。
「ただ、これ以上迷惑かけたくなくて…」
「何で迷惑だなんて思うの……?
俺は由香のことで迷惑だなんて思ったこと一度だってないよ」