桜雪、散る
「…もういいわ。早く宿題をやって寝なさい」


今日は晩御飯なしか。


食べる気になんてなれなかったから丁度よかったかもしれない。


母が自室に戻った後僕はしばらくぼんやりしていた。

「…………」


時計は、12時を回っていた。


僕の15歳の誕生日が終わりを告げた。


不思議と悲しい、とは思わない。


だって、僕の誕生日を


祝ってくれた人がいた。


名前も知らないあの女の子が


『おめでとう』と言ってくれた。


それだけで僕は恵まれている気がした。
< 9 / 12 >

この作品をシェア

pagetop