神威
しかし何もなく、淡々と時間は過ぎていく。
 
 
そして放課後のチャイムが鳴るか鳴らないか、という時間。
 
 
「三田君、ちょっと話があるんだけど、屋上まで良いかな?」
 
 
三田は遠藤から呼び止められた。
遠藤祐輔は三田のクラスメイト達のなかでも三指に入るおとなしさで、存在を忘れられることもしばしばあった。
 
 
「おう、遠藤?別に構わねえけど、ここじゃ済ませない話なんか?」
 
 
「うん…ちょっとね。僕の個人的なことだから、あまり他の人に知られたくないんだ。」
 
 
「そっか…わかった。橋口ー、俺今からちょっと遠藤と男と男の話してくるわ。」
 
 
「うん!!アイアイサー(・o・)ノ」
 
 
「…これはありがたいね。」
 
 
そう遠藤が小声で呟き、同時に先の授業の時に見せたニヤリとした含み笑顔を出したのを今度こそ三田は見逃さなかった。
 
 
―こいつ…!!
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