神威
「前説はもう良くない?早く抜かないと、本気で殺しちゃうよ?」
 
 
―くっ…こいつ…!!
 
 
遠藤は歩き始め、先ほどの位置から一歩、また一歩と距離を詰めだした。
その姿に感じとれるのはただ一つ、本気で殺しにかかっているということ。
 
 
「そういえば佐助、お前ってさ、真田十勇士の一人だっけ?信長様は幸村とお前を欲しがってたけど、僕からしたらすごい邪魔なんだよね。」
 
 
「信…長?」
 
 
「冥土の土産に教えてやるよ、今僕は信長様の側についている。あの人は本気で日本っていう、発言するだけしか能が無く、動かないこの国を変えようとしてるんだ。」
 
 
―こりゃあゼーマンの言ってた通りだな。
 
 
「でも僕はお前と幸村は危ないから仲間にしたくない。だからできれば今お前を殺しておきたいんだよ。信長様への言い訳はいくらでもできるしね。」
 
 
「…やるしかないのか。」
 
 
「うん。君に拒否権はないよ。でも短刀を抜けってのは僕の優しささ。無抵抗はつまらないからね。」
 
 
―くっ…!!
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