神威
「三田…聞いて…。」
 
 
「聞きたくねえよ!!」
 
 
途端、ゼーマンの大きな手が、三田の肩にかかる。
ゼーマンは橋口へ振り返り、人差し指を口へ当てた。
 
 
“聞いてくれないならそれでも良い。信じてくれなくても構わない。とにかく、私も君も、後ろにいる橋口君も、そしてまだ我々の知らない他の誰か達も、今大きな選択肢を迫られているんだ。”
 
 
「それは前に、仲間になれとか言ってたあのことかよ…。」
 
 
三田は呟いた。
 
 
“そうだ。少なくとも信長は以前から私の存在を危険と認知し探していた。仮に何もしなかったとしても、だ。そして私が君らに初めて会ったあの日の朝、奴らは派手にやらかしたろう?今思えばあれは私を既に見つけていた奴らの脅し、そして今の今まで監視してたんだろう。”
 
 
そこまで言って、ゼーマンは肩を落とし、表情を曇らせた。
 
 
「つまり、それは俺らもろともだったってことかよ…。」
 
 
“正直、君らを巻き込みたくはなかった。しかし奴らはどの道やり方は違えど巻き込んだろう、それだけはわかっていたから私も結果的に君らを巻き込まざるを得なかった。”

< 26 / 28 >

この作品をシェア

pagetop