ティラミス捧げます スイーツコメディ祭参加作品
「あれ、マリア君?」


よく知っている声にオレはぴたりと歩きを止める。
そしてふと横を見れば。


オレの大好きなたいやき屋の屋台の前にすらりとした超絶美形が立っており。
紙袋いっぱいのたいやきを嬉しそうに抱えながら。
たいやき屋の謎の店主と歓談の最中だったみたい。


「あれ、暗い顔だねぇ?」


なんでだろう。

この男も女も大好きですって言う。
とってもアブノーマルな天使様は、さすがに『異国のお医者様』だけあって。
ちょっとした変化にもお気づきになる。


「ああ、そっか。ミカちゃんにムチャぶりされたんだ。今度はなにー? よければ相談にのっちゃうよ~」


あの天使様とお知り合いというのか。
腐れ縁というのか。
片思い中というのか。


この人っていうか天使様は。
あの天使様に比べるとすこぶる軽い。

フットワークも。
お口も。


「やだなぁ、そんな警戒しないでよ。ね、その紙袋何? やーらーしー本?」


なんか、がっつり興味あります的目で本を見ないでほしい。


つーか。

なんでこう、超絶美形は絡みたがりが多いの?
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