ティラミス捧げます スイーツコメディ祭参加作品
それでどうしてオレに作れ的な展開になるんだよ。


「『ばれんたいんってなんだ?』って言われたから。『好きな子から甘いものを作ってもらえる日』って教えてあげたんだよねー」

ねー。

じゃねぇよっ!!


その教え方が間違ってんじゃん!!


「ふふ。ミカちゃん、かわいいでしょ?」


天使様を殴りたいっ!!

つーか。

あの天使様も鵜呑みにすんな!!


「まぁ、いいじゃない? たまには我儘聞いてあげてよ、ね? ここのたいやき、おごるから」


たまの我儘どころか。

四六時中、我儘聞いてあげてますけど。


「っていうか、オレ。材料自体もよく分かってないんすけど。さっき本屋のにーちゃんにマスカルポーネがチーズってのも教えてもらったくらいだし」


その発言に、ガブリエル様と。
なぜか後ろで静かに聞いていた謎の店主。
ちなみに前までマスクと帽子とサングラスだったのに。
最近はレスラーの覆面みたいのを被りだしている妙な人。

一斉にオレを凝視した。


「ちなみにこの本、その人のオレに対するお礼……らしいっす」


オレを凝視していた二人が顔を見合わせる。

それから、ガブリエル様のほうがややぁとなって、もう一度オレにほほ笑んだ。


「いやぁ、ほんと。マリア君には感心しちゃうよ、ボクは」


そう言うと、袋の中からたいやきを一つ取り出してオレの手に載せる。
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