ティラミス捧げます スイーツコメディ祭参加作品
「わかってないって、なにが?」

しかもダメダメってなに?


『おまえに作って貰いたいから、おまえの分まで頑張っておるんじゃろ? おまえに時間を作るために、必死になっておるんじゃろ? 笑ったぞ、あの顔で黙々と団子作ってる様はのぉ』


やっぱ、笑えるのね。


つーか。

なんでそんなにしてまでオレに作ってもらいたいの?


『おまえ、ほんとに鈍いのぉ……』


呆れたようにじーちゃんは言った。


鈍い?


意味わかんね。


『まぁ、ええわな。とにかく、ああやって天使様もガンバッとるんじゃ。おまえもそれに応えるくらいの美味いもん、作ってやらないかんよ』


それ、一番難しい。


『おまえは天使様の笑顔が浮かばんとか言うが。わしには簡単に想像できるぞ。きっと目を輝かせて食べるぞ。ホクホクした顔くらい、おまえ見たことあるじゃろ?』


ホクホクした顔?


『初めて天津甘栗食べた時の天使様の顔。思い出せんか?』


そう言われてみれば。


かーちゃんに初めて食わされた時の天使様の顔は。


確かにホクホクだったような気がする。


その後、あまりに無表情に黙々と食べ続けていた印象濃すぎて、すっかり記憶の底にあったけど。
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