【完】宛先不明のラブレター
「…なに?」
「親に友達の家にでも泊まるって連絡しとけよ。」
「あ、うん」
聡にそう言われて携帯を取り出して、友達にアリバイ作りの協力を頼み、その後親に帰れないとメールを送った。
初めて2人で並んで歩く道は、涙でぼやけて、横を歩く聡の顔すらよく見えなかった。
…この景色を、あたしはきっと一生、忘れない。
「…ここでいい?」
「聡がいいって思ったところでいいよ。」
「そう?…じゃ、ここに入ろうか。」
「…うん」
この日あたしは、壊れるんじゃないかっていうくらいに、彼で満たされることになった。