【完】宛先不明のラブレター
「聡もね」
「…ん、」
「……じゃあ、」
くるっと向きを変えて、聡に背中を向ける。
……これで、本当に最後。
「…、また、いつか。」
「……、うん、…また、いつか」
背中に飛んできた声に、声が震えないように注意して返事をした。
『また、いつか』
あんなこともあったねって笑えるようになったら、また、いつか。
またいつか、あの高台で会おうね。
何日、何ヶ月、何年、何十年先の話になるかなんてわからないけれど。
出会った日のように、星が降ってきそうなくらい輝いている、空の下で。