【完】宛先不明のラブレター
春から、俺の横を、俺の側を常に歩くのは茉莉じゃなくなるのだろう。
もちろん、別れるわけじゃないから会うことは当たり前にあるけれど。
でも、今までよりずっと一緒にいる時間が減るのは間違いなかった。
…茉莉と出会うまで、俺はどうやって自分が日々を過ごしていたかを全く思い出せないというのに、これからどうやって過ごしていくんだろう、なんて今から不安になっていた。
「…ねぇ、寂しい?」
少しの沈黙の後、俺の表情をうかがうようにして聞いてきた茉莉に、俺は迷うことなく答えた。